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2004-11-09(Tue) この日を編集
_ [Rail][踏切][misc] インタビュー領空侵犯「踏切ノンストップの効用」(日経)
日本経済新聞2004年11月5日朝刊「インタビュー 領空侵犯」より衆議院議員 原田義昭氏が、踏切での一時停止義務を廃止する活動をしているそうだ。
彼が廃止を推進する理由とメリットをかいつまんで列挙すると
- 世界でも一時停止義務があるのは日本と韓国だけ
- ノンストップの方が踏み切りを早く渡れてむしろ安全
- 渋滞の緩和に役立つ
- 排気ガスの減少により環境問題にも効果がある
- 一時停止を現実に守っている人は少ない
- 一時停止をして危険を回避できたことはない
既成の法律だからといって盲目的に従うのではなく、根拠や常識を疑ってみることも必要だ、との彼の主張にはうなずける。だが、ことノンストップの件についてはどうも腑に落ちない。「領空侵犯」はあえて専門外の人の過激な主張を取り上げる記事なので、目立つところだけ面白おかしく書かれてしまったのかとも思い原田氏のサイト[y-harada.com]をあたってみた。
が、一読して驚いた。むしろ原典のほうが「怪しい」文章なのだ。
疑問を感じた部分:
- 最初に「世界でも日本だけ(諸外国はしていない)」と海外事例を挙げているが、確固たる根拠があるならまずそちらを主張すべきだろう。
昔の日本人ならともかく「海外=正しい」といった舶来信仰を前面に押し出されるとかえって怪しく感じてしまう。「他がこうだからわれわれも」という思考停止はむしろ彼の本位ではないはずなのだが。 - 安全性の検証などの大事なところになると「思われる」「考えられる」と主観的な記述になり心もとない。
- 「一時停止したあと、列車進入の危険を感じて止まり続けた経験は誰しも皆無であり、このことからもわが国の遮断機の精度は限りなく100%に近いといえます。」
「誰しも皆無」などと数値的根拠なく主観を一般化し、そこから精度は100%に近い「といえる」等と決め付けてしまっている。 - ETCを引き合いに出して正当性と有効性を主張しているところもあるが、そもそも比較対象が間違っている。ETCのゲートが開閉するのは何かが横断する危険があるからではない。もちろん、環境への効果の先例として挙げる分には納得できるが、それでもETCでこれだけの効果があったのでこちらも、という実績を出してくれないことには。
- 具体的な調査結果から4人に3人は守っていない、ということも根拠にしている。確かにだれも守らない法律には問題があるが、守らない人が多いからやめよう、というのは根拠としてはどうか。
ちなみに私は踏切前ではきちんと一時停止している。列車の進入に気をつけるのはもちろんだが、「今踏切が動作しても安全に渡りきれるか」を判断するためには、一時停止して「先詰まりしていないか」「先行する自転車歩行者は大丈夫か」等を確認するのは有効だと思っているからだ。(教習所で指導された「窓を開けて電車や踏切の音を確認する」のはやってませんが:)
ただ、私が踏切での一時停止を厭わないのは
親子ともども「でんしゃ、こないかなぁ」といつも思っているから が一番の理由のようだ。
参考サイト:
- ヨッシーサイト[y-harada.com]
原田氏のサイト。「政策提言」の最後に踏切ノンストップの項目がある。 - 道路交通法(第3章 車両及び路面電車の交通方法 第5節 踏切の通過)[geocities.co.jp]
「窓を開けて音を聞け」とは書いてなかった。 - 踏切の種類をおしえて[nifty.com]
※原田氏は遮断機のない踏切六千箇所はほとんど見通しがよいところなので問題ないとしているが、第三種踏切は車が通れないものも多いはずなので、「車の通れる第三種踏切」に限定したうえで「ほとんどは見晴らしがよい」ことが提示できればより説得力が増すのではなかろうか? - 日経で読む、仕事術・組織術[idealbreak.jp]
日経の主要記事を網羅し、面白いコメントが付いている。いいサイトを見つけた。 - MRI(モナー総研)[2log.net]
ネットではもう有名な「詭弁の特徴のガイドライン」。三国志・戦国板バーションが面白い。